
INTRODUCTION
はじめに
太陽光パネルは設置から20年ほど経過すると、発電効率の低下や劣化リスクが高まり、廃棄を検討する必要があります。しかし、初めて廃棄を行う場合は「何から手をつければよいのか」「どんな手順で進めればよいのか」が分からないことも多いでしょう。
本記事では、太陽光パネル廃棄の検討から実際の廃棄完了までの流れをステップごとにご説明します。各ステップ間にはつなぎの文章も挿入し、読者の皆さまが自然に次の手順へと進めるよう工夫しました。
現状把握・情報収集
まずは廃棄を始める前に、以下の情報を整理し、現状を把握しましょう。
パネル枚数・仕様の確認
設置している太陽光パネルの枚数、メーカー名、型番、出力(kW)をリスト化します。これにより、廃棄対象の規模感と費用イメージをつかみやすくなります。
設置環境の確認
パネルが屋根上に設置されているのか地上置き(野立て)なのかを確認します。屋根上の場合は撤去作業にクレーンや足場が必要になる可能性が高く、費用や工程が変動します。
有害物質含有の有無
古いパネルには鉛やセレン、カドミウムが含まれていることがあります。パネル仕様書や保証書を確認し、必要に応じて成分分析を検討しましょう。
上記の情報を整理することで、以降の業者選定や見積り依頼がスムーズになります。次に、業者選定と見積り依頼の方法について見ていきましょう。
業者選定・見積り依頼
現状把握が完了したら、廃棄を依頼する業者を選定し、見積りを依頼します。ここでは、適切な業者を選ぶためのポイントと、見積り依頼時に伝えるべき情報を解説します。
業者選定のポイント
- 産業廃棄物処分業許可の有無
産業廃棄物収集運搬業許可や処分業の許可を取得しているかを確認します。有害物質含有のパネルを処理する場合は、特別管理産業廃棄物収集運搬業と処分業の許可を保有しているかの確認は必須です。どちらも都道府県から優良業者認定を受けているかも調べましょう。
- 対応エリア
設置場所からの輸送距離が短いほど輸送費用を抑えられます。近隣三県ほどに拠点を持つ業者をリストアップしましょう。 - HPを確認
ISO14001の取得やSDGsへの取り組みを通し企業の環境に対する姿勢をチェックします。そのうえで太陽光パネルの処理工程と再生利用法を確認し、共感を覚えたら見積りを依頼してみるとよいでしょう。その際に同規模の廃棄実績があるか、過去の施工例やトラブル時の対応やアフターフォローについても遠慮なく質問しましょう。
見積り依頼時に伝えるべき情報
- パネル枚数、メーカー・型番、設置年
- 設置環境(屋根上か地上置きか、屋根形状や搬入経路)
- 成分分析済みかどうか、有害物質含有の可能性
- 希望するスケジュール(廃棄予定時期)
これらの情報をもとに、業者から「撤去・収集運搬」「処分費」「撤去後の補修費用」を含めた詳細な見積りを受け取りましょう。次項では、複数業者の見積り比較と選定ポイントについてご説明します。
複数業者の比較・選定
見積りが複数業者から揃ったら、金額だけでなく工程やサービス内容も比較して最適な業者を選定します。
見積り・選定の比較ポイント
- 費用内訳の明確さ
撤去・収集運搬費、処分費、撤去後の補修費用など、各項目が明細化されているか確認します。細かく費用が記載されていることで不要なものは省くことができ、追加費用が発生する場合は何にいくらかかるのかを明示してもらいましょう。
※法人個人を問わず、太陽光パネル処理については事前に契約書の締結と、事後の産業廃棄物管理票(マニフェスト)の発行が必須です。手続きの速さ、行政への届出を考慮すると電子のほうが格段に手間は省けるため電子契約・電子マニフェスト可能な業者か否かもポイントとなります。 - 作業スケジュールと対応可能日
廃棄実施の希望時期に合わせて、業者のスケジュールが合うか確認します。繁忙期や大型案件で予定が埋まっていると、希望日程に調整が必要になる可能性があります。 - アフターフォロー体制
廃棄完了後に産業廃棄物管理票(マニフェスト)発行や、行政への「産業廃棄物処理実績報告書」届出についてサポートが整っているかをチェックします。また地域の補助金申請についての情報サービスも大事なポイントです。
最終選定のコツ
- 最安値だけでなく、法的に適正な処理を完結しているか、行政への届出等アフターフォローを総合的に評価することが重要です。
- 見積り内容に不明点があれば、必ず業者へ確認し、納得できるまで説明を受けましょう。
業者を選定したら、契約に移ります。次は契約内容とマニフェスト手続きについて解説します。
契約・マニフェスト手続き
業者が決まったら、以下の手順で契約とマニフェストの手続きを進めます。
STEP.1 | 契約手続き |
- 契約書の確認
見積り金額、作業範囲、スケジュール、支払い条件、処理方法、処分場、廃棄物量などが明記されているかを確認します。
※国や自治体からの補助金の申請がある場合は最初に必ず業者に伝えましょう。申請には期限があり工事日に影響します。 - 同意事項および署名
契約書に同意し、必要な署名や押印を行いましょう。書類は控えを保管しておくことが大切です。電子契約は押印、郵送、保管の手間はありません。
STEP.2 | 産業廃棄物管理票(マニフェスト)手続き |
- 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の発行
基本的に産業廃棄物管理票(マニフェスト)伝票は排出事業者が用意します。なければ業者に頼むことも可能です。電子マニフェストの場合はインターネット環境にあるパソコンがあれば大丈夫です。 - 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の流れ/紙ベース(7枚つづり)
- A票
交付年月日の下に排出事業者の名称・住所・電話番号を記入し、廃棄物の種類・数量・荷姿・廃棄物の名称・有害物の有無・処分方法を記入します。中段に廃棄物の運搬業者の詳細、運搬先の処分場、処分受託業者の詳細を記し最後に運搬受託会社名と運転手の名前を書きます。この記載事項は以後のB票からE票まで複写となっています。このA票は排出事業者が控えとしてその場で受け取り保管します。 - B1票
処分受託業者の会社名と責任者名を記載、運搬終了年月日を入れて運搬業者が控えとして保管します。 - B2票
運搬終了の証として運搬業者から排出事業者に返送されます。排出事業者はA票と合わせて保管します。 - C1票
処分業者が処分終了年月日を記入して処分業者が保管します。 - C2票
処分が済んだ証として処分業者から運搬業者に返送されます。運搬業者はB1票とともに保管します。 - D票
処分が済んだ証として処分業者から排出事業者へ返送されます。排出事業者はA票、B2票とともに保管します。 - E票
最終処分完了後、最下段に最終処分場の名称・所在地・電話番号と最終処分年月日を記入します。このE票が排出事業者に返送され、受け取った排出事業者がA、B2、D、E票を合わせて保管します。 - 排出事業者は、各票が手元に届いた日を伝票右下の照合確認欄に記載します。マニフェスト伝票は1セットずつに11ケタの交付番号があるので伝票が複数ある場合は混ざらないよう気をつけます。またこの伝票は5年間の保管義務があります。翌年度には前年度に排出した廃棄物について行政への届出の義務があり、その際にもマニフェストは必要です。※再発行はできませんので保管には注意しましょう。
- 業者に対して伝票代金、郵送料、手数料等がかかります。
- A票
- 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の流れ/電子マニフェスト
- JWNET電子マニフェストシステムのHP「加入申込メニュー」から担当者とメールアドレスの登録し、届いたメールに記載のある「仮ID」と「仮パスワード」でアクセスし規約を一読して承諾、加入します。
- 加入者の基本情報(送付先・料金支払方法)を登録すると、JWNETよりログインアドレス、加入者番号、仮パスワードが記載されたメールが届き不備がなければ翌営業日より利用できます。JWNETへは基本料1,980円/年がかかります。
- 実際の運用の流れは上記「紙マニフェスト」と同じですが、手書きや郵送せずJWNETの情報処理センターを通して各業者が運搬終了日、処分終了日等を順次入力していくので最終処分終了まで三者が同時進行で情報共有します。JWNETに情報は永久に残るため手元で伝票の保管が不要です。
- 一度登録しておけば、太陽光パネル以外でも廃棄物を排出したいときは使用できます。
- 上記、紙マニフェスト(8.)で記した行政への届出について、電子マニフェスト使用の場合は免除されます。
- 業者によってはEDI方式を採用しています。これは申込用紙に必要事項を記入しその後の入力業務を産業廃棄物処理業者にゆだねる方法で、手数料はかかりますがJWNETへの基本料金の支払いは業者が負担します。
マニフェストは法令に基づく必須手続きです。発行・管理を適切に行い、コンプライアンス違反を防ぎましょう。
事前準備・現地調査
契約とマニフェストが完了したら、業者とともに事前準備と現地調査を行います。
現地調査の実施
- 調査内容
- パネル枚数の最終確認
- 設置環境(屋根材の状況、足場の要否、搬入動線)
- 周辺設備(架台、ケーブル配線、接続箱など)の状況
- 安全対策の確認
- 作業にあたって必要な安全対策(高所での墜落防止処置)の確認
- 悪天候や強風時の作業中止条件も相談しておきましょう。
事前準備
- 必要な足場・クレーン手配
屋根上撤去の場合は、有資格者による足場設置やクレーン業者との調整が必要です。 - 近隣への挨拶・通知
作業中の騒音やトラックの出入りが発生するため、近隣住民や管理組合などへ事前に挨拶を行い、理解を得ておくとトラブルを避けられます。 - 作業日程の最終確定
天候や作業人数の調整を踏まえ、業者と具体的な廃棄当日のスケジュールを確定します。
以上の準備を経て、いよいよ回収・撤去作業に移ります。次項で詳細をご説明します。
撤去・回収
事前準備が整ったら、業者による撤去・回収作業が行われます。安全第一で作業を進めましょう。
作業当日の流れ
STEP.1 | 足場の設置(昇降設備) |
- 有資格者の指揮下のもと作業員が足場を組み立て、必要に応じてクレーンや高所作業車を配置します。
STEP.2 | パネル撤去作業 |
- 電気工事士による配線の撤去
- 高所では作業員はハーネスを着用し安全帯を使用し作業します。
- パネルのケーブルを安全に切断し、蓄電された電気を放電します。
- パネル本体を慎重に外し、屋根上からクレーンや足場を利用し手作業で降ろします。
- 降ろしたパネルをパレットやコンテナに積み込み、タグなどで枚数が分かるよう管理します。
STEP.3 | 架台・配線の撤去(必要に応じて) |
- パネル撤去後、架台や配線などをまとめて撤去・解体します。
- 架台などの金属部材も再資源化が可能な場合があるため、別途分別回収されることがあります。
作業完了の確認
- 枚数・状態の最終チェック
撤去したパネルが見積りどおりの枚数・仕様であるかを最終確認します。破損や紛失があった場合は、業者と状況を確認します。 - 廃棄物受け渡し
撤去したパネルをリサイクル業者が確保した中間処理拠点へ運搬する準備を行います。産業廃棄物管理票(マニフェスト)とともに廃棄物を引き渡します。
撤去作業が完了すると、いよいよ運搬・リサイクル処理の段階に入ります。
運搬・リサイクル処理
撤去されたパネルは、産業廃棄物処理法に基づいて適正に運搬され、分解・リサイクル処理が行われます。
運搬
処分
- 初期分解・素材分別
太陽光パネル枠からアルミ枠を分離し、セルシート、バックシート、ガラスなどを素材別に分別します。 - 各種処理工程
- ガラスは粉砕して建材用フリットガラスなどに再資源化されます。
- アルミフレームは再生アルミとして流通します。
- セルシート、バックシートについては各社取り扱いが様々です。
必要書類の受領・保管
保管義務・アフターフォロー
最後に保管義務やアフターフォローについて確認します。
書類の保管義務
- 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の保管
産業廃棄物管理票(マニフェスト)(計4枚)は、排出事業者が5年間保管する義務があります。マニフェスト伝票の再発行はできませんので定期的に所在を確認し、期限まで確実に保管してください。なお電子マニフェストの場合は紙媒体での保管の義務はありません。 - 補助金関連書類の保管
補助金申請時に提出した書類や交付決定通知書、実績報告書、および補助金の支払通知書なども、一定期間(自治体により異なりますが、おおむね5~7年程度)保管する必要があります。
アフターフォロー
- 業者への連絡先保持
廃棄後も業者の連絡先や担当者情報は必ず控えておきましょう。 - 廃棄後の状況把握
大規模な廃棄案件では、解体した架台や配線などの処理も必要です。これらの処理も同じ業者に処理してもらえれば排出事業者としては手間がなく安心です。
まとめ
本記事では、太陽光パネルの廃棄を検討するところから完了後の書類保管・アフターフォローまで、一連の流れをステップごとに解説しました。以下のポイントを押さえていただくことで、スムーズかつ適正に廃棄手続きを進めることができます。
POINT.1 | 現状把握と情報収集を徹底し、廃棄対象のパネルや設置環境を正確に整理する。 |
POINT.2 | 産業廃棄物処理業許可を持つ複数業者に見積りを依頼し、費用内訳やサービス内容を比較検討する。 |
POINT.3 | マニフェスト手続きや契約内容を正確に確認し、法令遵守を確保する。 |
POINT.4 | 現地調査と事前準備を行い、安全対策を徹底して撤去・収集運搬作業を実施する。 |
POINT.5 | 処分完了後の産業廃棄物管理票(マニフェスト)を受領・保管し、補助金申請・実績報告を行う。 |
POINT.6 | 廃棄完了後も書類を所定期間保管し、業者とのアフターフォロー体制を維持する。 |
太陽光パネル廃棄は費用がかかる作業ですが、適切な手順を踏むことでコストを最適化し、環境負荷を抑えつつ安心して処理が行えます。
お問い合わせ・見積り依頼

※ 無料見積りは24時間受付しております。最短3営業日以内にご回答いたします。
※ 現地調査が必要な場合は別途費用がかかる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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用語解説
JWNET
とは公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが運営、日本中の廃棄物の流れを管理する根幹のシステムとなっています。民間で電子マニフェスト入力業務等をアシストするソフト等もありますが、情報は最終的にすべてこのJWNETで統括しています。

| 文責担当者 | 大矢 倫生(有限会社水谷ケミカル/営業部長) |
産業廃棄物処理業に長年従事し、幅広い知識と人脈を持つ。
医療系廃棄物・写真廃液の処理を得意分野としていたが、時代の趨勢に伴い廃棄パソコン・タブレット、医療機器類等の都市鉱山から出る非鉄金属に早くから着目しリユース・リサイクルに努める。初期の太陽光パネル設置時代から三十年後の廃棄を見通しており準備を進めてきた。
医療系廃棄物・写真廃液の処理を得意分野としていたが、時代の趨勢に伴い廃棄パソコン・タブレット、医療機器類等の都市鉱山から出る非鉄金属に早くから着目しリユース・リサイクルに努める。初期の太陽光パネル設置時代から三十年後の廃棄を見通しており準備を進めてきた。
太陽光パネル 関連情報
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